ハーブに魅せられた男は
緻密でロジカルな思考の持ち主
ビジネスとハーブの本質を捉える

ハーブの香りに包まれて

ハーブ農家のコンセファーム代表の赤石さんの加工場を訪れた。

加工場に立ち込めるハーブの香りは、非日常的な空間を感じさせ、ワクワクする気持ちにさせてくれた。

『はじめまして、コンセファームの赤石です』

初めてお会いした赤石さんの姿は、『農家』という言葉を忘れさせてくれるくらいの知的な雰囲気を持っており、ハーブの香りと赤石さんの出で立ちが妙にマッチしていた。

根っからの経営者

『中学生の頃には、起業したいと思っていたんですよ、今考えると、あの頃から周りの子達とは違っていたんでしょうね(笑)』

なんと赤石さんは、中学生の頃から、将来、経営者になるという事を考えていた。

物事の考え方や捉え方は、全て経営者目線で見るようになり、『思考』するようになったのだ。

『中学、高校からパソコンに慣れ親しんでいたからかな・・・』

そのような環境下でも、その年頃では簡単に出てこない発想である。

高校進学も、将来経営者になる為という目的意識を持ち、広く知識を得ようと考えていたのだ。

赤石さんはこの頃からすでに、将来像を思い描いていたのである。

経験を思考に変換する

『とにかく色々と学びたかった。実際に働く現場に立って経験を積み、ビジネスの世界を実感したかったんですよ』

ビジネスの世界をどん欲に吸収したいという思いからだった。

実際に高校在学中から、親戚が営むガソリンスタンドで働き、接客サービスという観点と経営という視点で、自分の経験値を上げていったという。

その中で、インターネットでの情報発信は、これからのビジネスにおいて、必要不可欠であると感じ、ホームページ作成の職業訓練に通い、自分への投資として、ITスキルを身に付けていった。

まさに、経営者としての条件である『先見の明』の持ち主であることがうかがえる。

衝撃的なハーブとの出会い

赤石さんは、商品開発などを手掛ける民間企業に就職し、仕事をしていく中で、運命的な出会いをする。六戸町のハーブ農家・大西さんと出会うのだ。

『ハーブを意識するようになったのは、大西さんが育てるハーブを知ってからです。大西さんが育てるハーブがすごく美味しいのだと気付くきっかけになることがあったんですよ』

それは、普段あまり口にすることのないハーブだからこそのエピソードである。

『大西さんの畑で育ったある種のハーブを食べてとても感動したことがありました。それと同じ種のハーブがレストランで出てきたことがあったんですよ、珍しいなと思って食べてみたら、全然違う味で驚きました!同じハーブとは思えないくらいで・・大西さんのハーブが美味しいんだと実感しました!』

この一件があり、赤石さんは大西さんのハーブに深く興味を持ち始めたのである。

赤石さんがハーブに魅力を感じ始めたちょうどその頃、偶然にも大西さんのハーブ農園が、人手が足りないという状況になったのだ。

当然のように、赤石さんは大西さんに志願し、半ば無理矢理、農園の手伝いを始める。

『大西さんのハーブ農園で人手が欲しいと聞いた時、運命だと思いました、何も考えずに、無意識で、手伝いますと答えていましたから(笑)』

赤石さんとハーブは、このように、運命的な繋がりを持つようになった。

ハーブ農園をやると決断した30歳

大西さんの手伝いを続けているうちに、ハーブの世界に本格的に取り組むようになった。

会社を辞め、大西さんのハーブ農園で2年間修行することとなる。

『修行と行っても、大西さんから直接教えてもらうことは、ほとんどありませんでした。多くを語らない人でしたから・・』

大西さんはハーブの知識や育て方、大西さんの経験談などほとんど教えてもらうことはなかった。

それでも赤石さんは、大西さんが農園で実践していることを分析し、情報を集め、研究と実験を重ねていったのである。

『なぜ大西さんはこのようにやっているのだろう、ハーブはなぜこのように育つのだろうと、〔なぜ〕を追及しているだけです。自分でも同じように試してみて、原理・原則を分かった上で、失敗などを経験した方が、自分自身納得出来ますから』

『遠回りが一番の近道』という名言が頭に浮かんだ。

雑草や虫達と共生するハーブ

赤石さんが実践している『ノンケミカル農法』。

農園の土は農薬・化学合成肥料を一切使っておらず、雑草や虫達と共に、ハーブを育てています。虫達が植物を分解し、微生物がさらにそれを分解する。

雑草や枯れ木、出荷時期を過ぎたハーブも草木堆肥になり、ハーブの栄養となる。

自然の一部である虫達や雑草は排除するものではなく、赤石さんと共にハーブを美味しくする重要な存在なのだ。

『虫や雑草は、コンセファームの大事なスタッフですよ笑』

赤石さんは1枚1枚丁寧にハーブを摘み取る。

植え床も、残すもの、取り除くものを毎日徹底管理している。

農薬も化学肥料も使わず、全てが自分の経験と知識をもとに、手作業で行われる。

だからこそ、高品質で美味しいハーブが育つのだ。

『大西さんの美味しいハーブを継承するためには、手間が必要です。それでもまだまだ研究が必要ですけどね』

赤石さんのハーブに対する情熱と探究心は尽きることがなさそうであった。

ハーブの可能性を見出す

『ハーブの世界に未来しか見えていません、ハーブの魅力は無限大って思っています』

赤石さんは、経営者になるにあたり、闇雲に『ハーブ農家』を選択したわけではない。

『青森県南地域ってハーブ栽培に適している土地なんですよ、光と水が最高です』

北緯40度に位置する青森県南地域は、多くのハーブの原産地である地中海地域やアジア中部、北米などと同じ位置で、日の当たりが最適であり、八甲田が育んだ清らかな水が流れてくる。ハーブを最高に育ててくれる条件が揃っているのである。

『さらにハーブって、農業において生産者が少なく、ニッチ産業なんですよ、ライバルが少ないなと最初思いました。しかも、ハーブにはいろんな種類があり、いろんな形があって、とても面白いなと思っていました。ハーブって食べる、飲む以外にも、見て楽しむことが出来る、ハーブの進化の過程を見るのもとても面白く、知ればもっと面白い、これからハーブの多様性をいっぱい活用していきたいと思ってます。』

『ハーブにも育ったストーリーがあるんですよ』

赤石さんは現在100種類以上のハーブを育てている。

ハーブを愛する情熱を持ち、ハーブをより良く育てる為の研究と論理を積み重ねていく。
赤石さんは、ハーブの可能性を無限に広げるだろうと実感した。

家族との絆

『僕は早く結婚したいと思っていました、子供が好きなので何人でも欲しいと思っていました』

赤石さんは23歳で結婚。結婚1年目で長女に恵まれ、翌年に次女も生まれる。

『順調に女の子2人が生まれてきてくれたので、すぐにでも男の子が欲しいと思っていましたが、そこから苦悩が続きましたね』

奥さんが2人目の子供を出産してから、不育症を発症し、7年間で4人を流産してしまう。

『この7年間は妻と私にとって、とても辛い期間でした、妻の体も限界だったので、もう諦めてましたね』

しかし、男の子を諦めていた頃、奥さんが妊娠したのだ。

『その妊娠がわかった時は、これが最後の望みだと思いましたね』

最後の望みだったその子は、奥さんのお腹の中で順調に育ち、念願の男の子を無事出産する。

『妻の不育症という事もあり、食べ物は必ず体に影響するのだと、改めて考えさせられました。子供達に対する社会貢献として、食育という分野でも今後の活動に取り入れていきたい』

社会貢献、地域貢献も積極的に取り組む赤石さんは、『ニュースタイル農家』と言える存在であると感じた。

『何事も妥協しない、最強を目標としていますから』

ハーブでも、家族でも、地域でも、全てにおいて妥協しないという赤石さんの姿は、緻密でロジカルな聡明さ以上に、情熱と愛情を持ち合わせている人だと思った。

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